Blue Black Check

読書と写真とゲームが趣味。海外ミステリードラマが好き

M/M [All's Fair』シリーズ

ジョシュ・ラニヨンのシリーズの中では一番好きなシリーズ。家族愛を知っているエリオットと孤児で育ったタッカーの愛情が、恋愛では逆になっているのが好きです。ぶっきらぼうに見えるタッカーが実は思いやりと愛情にあふれている。そしてエリオットの頭脳の明晰さと脆さ。王子と騎士(ナイト)的な立ち位置にいる二人が、事件を解決していく所が醍醐味です。

フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫)

All’s Fair①膝を撃ち抜かれ、FBIを辞め大学で講師となったエリオット。彼の父の旧友の息子が行方不明になり、FBIとの連絡役を頼まれるが、担当は元彼のタッカー・ランス捜査官だった!エリオットは怪我が元で彼に捨てられたと思っていたが、実際は…?大学でまた一人学生が失踪し、エリオットも狙われ、タッカーが家に匿う。エリオットがつれなき美女で、タッカーは溺愛型恋人?捜査官としてはエリオットの方が優秀で、連続殺人犯に気がつき、誰も気づかなかった証拠を見つけて真犯人と対峙する。読み応えのある作品だった 

フェア・プレイ フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫)

All’s Fair②元FBI捜査官エリオットの父ローランドの回顧録のせいで、実家が放火される幕開け。そしてタッカーには実の母が現れ、エリオットもパートナーとして紹介される。回顧録の影響は続き、ボウガンで狙われ、チンピラから脅しも来る有様で、エリオットは消えた父の行方を追い、犯人にたどり着く。政治活動家たちの昔と今がそれぞれ描かれて、ミステリ的に読み応えがあった。そして一作目の犯人からのエリオットへの接触もあり、これからどうなるのか?タッカーのエリオットへの愛情の示し方とか告白が真摯で胸を打つラストだった 

フェア・チャンス (モノクローム・ロマンス文庫)

 All’s Fair③エリオットがスカルプターの刑務所に行くと彼には共犯者いるような?スカルプターは所内で襲われ重体になる。有名パーソナリティのマコーレーは共犯者を教える代わりにエリオットを誘惑し失敗。誰かに射殺される。そしてタッカーが音信不通になり、エリオットは迷い犬シェバを拾う。必死にタッカーを探すエリオットを助けたのはなんとシェバ。タッカーは深い穴の底から生還し、エリオットに結婚を申し込む!判明した共犯者はスカルプターの産みの母で、ついに逮捕。エリオットは手柄を認められFBIに戻る事になる。

M/M 「アドリアン・イングリッシュ』シリーズ

BL(ボーイズラブ)ではなくM/M。大人の男性同士の愛を描くモノクローム・ロマンス文庫を知り、新しいミステリの分野を知ったシリーズでした。オープンなアドリアンと、ゲイと明かせないジェイクが、様々な事件を経て、確かな愛へ変わっていく物語。作家に惚れこんでしまったので、ブログに残しておこうと思いました。

アドリアン・イングリッシュ(1) 天使の影 (モノクローム・ロマンス文庫)

ゲイとミステリー専門の書店主アドリアンが主人公のBLミステリー。モンゴメリー・クリフト似で、不整脈持ち。ある日友人で店員のロバートが滅多刺しで殺され、刑事のリオーダンが尋問しに来る。書店も荒らされ、新たに雇った店員も性格が暗い。カフェの店主クロードの殺害現場にも出くわしてしまい、高校の元チェスクラブのメンバーが次々と死んでいる事もリオーダンに告げるが信じてもらえず。ミステリー作家でもあるアドリアンが、真犯人に迫っていくのが面白い。普通にミステリーとして楽しめる 

アドリアン・イングリッシュ(2) 死者の囁き (モノクローム・ロマンス文庫)

アドリアン・イングリッシュ②書店主&ミステリー作家と刑事ジェイクのゲイミステリー。アドリアンの祖母が残した牧場に行った彼は、死体を見つけるが、保安官と戻って来ると消えていた。のちに馬小屋で違う遺体を発見、敷地にはマリファナ畑ができているし、発掘隊もキャンプしているし謎だらけ。アドリアンを追いかけてきたジェイクも撃たれて怪我をするが、二人はとうとう結ばれる。そしてアドリアンは犯人の目的を探り出し、ジェイクと幼馴染を間一髪で助ける。ロマンス抜きでもかなり面白いミステリ

アドリアン・イングリッシュ(3) 悪魔の聖餐 (モノクローム・ロマンス文庫)

 アドリアン・イングリッシュ③書店の店員アンガスがカルトに追われている。ジェイクはアドリアンと一年ほど付き合ったものの、自分がゲイと認める事ができず、女性と結婚すると告げて去る。カルト事件は、連続生贄事件となり、アドリアンの母リサは再婚すると言い出し、再婚相手は市会議員で三女の子供あり、で相変わらずドタバタ。アドリアンの頑固さや謎を追い求める執拗さと、ジェイクに対する愛情とあきらめが切なくて、彼の大ファンになってしまった。最後はアドリアンのおかげで真犯人が捕まるが、自分の名前は出さないのが奥ゆかしい

アドリアン・イングリッシュ(4) 海賊王の死 (モノクローム・ロマンス文庫)

アドリアン・イングリッシュ④前作から2年。本の映画化のパーティーで、彼の隣席の男が毒殺死体に。主催者の俳優ポール・ケインは、アドリアンの元恋人ジェイクと5年越しの恋人だという。周囲の話を聞いて回って欲しい、というポールの依頼を受けるが、ジェイクは必ず自分に連絡する事を条件に認める。アドリアンは過去の事件が、殺人の原因だと目をつけ、調べ回るが、また犠牲者が。ついに真犯人を見つけるものの、囮捜査の最中撃たれて、元々悪い心臓の手術もされ一命を取り留める。ジェイクは警察を辞め、離婚し、ゲイをカミングアウトする 

アドリアン・イングリッシュ(5) 瞑き流れ (モノクローム・ロマンス文庫)

アドリアン・イングリッシュ⑤アドリアンの店舗の改修中に50年前の遺体が出てくる。生存者を求めて探偵となったジェイクに捜査を依頼するが、結局はジェイクが犯人を射殺して解決へ。二人の恋愛は、ジェイクがアドリアンを見た瞬間に運命の相手と思い、アドリアンは怖いと言いながら、彼無しでは耐えられない事を認める。アドリアンは母の家にジェイクと住む事になり、犬と猫を飼う事になる。長かったが、やっとジェイクが愛を告げて、アドリアンを取り戻してくれて良かった。シリーズ通して、とても面白いゲイミステリーだった

So This is Christmas アドリアン・イングリッシュ (モノクローム・ロマンス文庫)

アドリアン・イングリッシュ短編集。「雪の天使」泥棒とFBI捜査官の10年愛。「アナザー・クリスマス」前作の一年後のクリスマス。「欠けた景色」FBI捜査官と田舎の警部のラブストーリー。警部が行方不明になり、発見されるまで。「クリスマス イン ロンドン」アドリアンとジェイクはリサ一家とロンドンに行くが、二人で先に帰国。「ソー・ディスイズ・クリスマス」②巻の登場人物ケヴィンの恋人が行方不明でジェイクが探し出すまで。新年はジェイクの家族と共に過ごしたアドリアン、ジェイクに結婚を申し込まれて指輪を贈られる。アドリアンがジェイクに今までで一番美しい男と言われていたが、マット・ボマーに似てるなら、それは納得!と思った。 

2021年4月に読んだ本<3>

気が付いたら昨年の10月からブログを書いていませんでした。9~11月に熱があって、その後も熱が出て抗体検査を受けたりとスッキリしない毎日です。読書は進むものの、TVやドラマはあまり見たくなくて。

最近面白かったのは「バルタザール」「アートオブクライム」などでしょうか。ミニシリーズが見るのも楽ですね。

キスの魔術

キスの魔術

 

姉は派手なモデルで年下の大学生とお金目当てで付き合っている。妹のヒロインは姉が悪い方へ変わった事に気が付かないまま、姉の恋人の叔父と対応する。姉と間違えられたまま、それでも金銭より愛が大事と言うヒロインは、ついにヒーローに連れ去られ田舎の一軒家に軟禁される。えっ、このヒーロー怖すぎ!誤解とはいえ、誘拐監禁レイプ未遂!ヒロインの嘆願で、どうにか正気に戻って、最後は和やかな1日を過ごすが、口調のせいか証券会社の社長とは思えず、どこかのギャングみたいだった。ヒロインは美しく性格も良かったのにヒーローを選ぶとは。でもこんな夫でいいの? 

 

Kindle】既婚者に騙され、母親は夫に浮気されて事故死、という過去で男性不信のヒロイン、ホイットニー。とあるパーティーで婚約破棄の原因にされてしまい、罪悪感から屋敷の主人スローンの偽の婚約者をつとめることに。ホイットニーの性格の可愛さ、純真さに比べて、スローンの気持ちが途中までいまいちハッキリせず、一夜のあとになんでいなくなったの?何で嘘をついたの?というのは、恒例の答え合わせで判明する。ラストの誓いの場面では爆笑してしまった。こういうお話大好きだな〜。 

 

 イギリスの田舎育ちの少女がメイドになって、女主人のお供で乗った船が海で遭難し、なぜかスペインの島の領主に引き取られて…。モノクロのお伽話のような恋物語。舞台劇のような口調もドラマチックな雰囲気を出してると思うので、訳を現代的にしてほしくないなあ。いろいろ困難を乗り越えていきてきた公爵がヒロインに求めるなにかが愛であり、失った夢であるような。うまく言えないけど、他には無いタイプの古い作家ウィンズピアの、こういう作風がとても好きです。

【再読】ヴィクトリア朝ロマンスのような語り口の物語。やはり読んでいて、とても楽しい。片足が不自由でも悪魔のように美しく誇り高い公爵。どうやらヒロインに一目惚れだったようなのだが、それをじっと隠しつつ、隠しきれないところがツボ。ヒロインのお化粧を落とさせたり、ブレスレットをもらったことに怒ったり。長く孤独で寂しかった二人が、あの城で幸せに暮らすんだと思うと、心があたたかくなってきた。

 

光と影 (MIRA文庫)

光と影 (MIRA文庫)

 

コーンウォールの小島にある館で作家の若い妻が溺死。作家は失踪中だが、原稿を仕上げるために出版社からヒロインがやってきて、伝説の館で暗い人間関係に巻き込まれるサスペンスロマンス。ヒロインがいろんな場面で散々な目にあうので可哀想。特にヒーローの義母、異母妹がすごく嫌な人たちで、早く逃げたらいいのに、とひたすら祈っていた。

ヒーローも弟の妻と関係があったのか?ヒロインの疑惑をよそにぐいぐい迫る彼。スペイン気質とイギリス人の冷静さが反発しあって、結婚の申し込みも却下する、キャリア優先というヒロインは珍しい。最後は初代スペインの海賊みたいなヒーローの疑惑も晴れ、命を救われて、プロポーズされて遠い外国に攫われてしまうのだけど。 

 

ややこしい事情でヨークと偽の婚約者ごっこをする事になるヒロインのサビーナ。嘘が嘘を呼び、二人の惹かれ合う気持ちもあって、当然もっとややこしい事態に。サビーナが苦悩したり慌てたりジタバタするのが可愛くて良かった。それにしても祖母の指輪を盗む従兄弟がいるのはちょっと引くなあ。ヒロイン友人が男運が悪くて気の毒 。

 

本物の花嫁は結婚式当日に失踪。代わりに花嫁役を演じたフェネラは、へラクリオンの怒りを買い、そのままギリシアに連れていかれる。彼への強い愛ゆえに耐えて尽くすが、彼の怒りは収まらない。義弟は、すぐさまヒロインの美しさを見抜き、銀貨より金貨を得た果報者だと兄に言うが全く伝わらず。ブレスレットを買ったり、仕事に没頭して家にいない間に妻を秘かに愛していたのだろうか?妻が流産しても音信不通。やっと帰ってきたら、妻をずっと愛してた、というヒーロー。いや、わかんないし!続きは「恋する修道女」へ。 

 

「背徳の花嫁」から数年後、義弟ゾナーのロマンス。前作で義姉フェネラを熱愛していたゾナー。イギリスのホテルの仕事をする3ヶ月の間、修道院から家庭教師を頼む事に。18歳の修道女見習いのアイリスは、ゾナーの息子アレコスに手を焼き、運転手のアキレに乱暴されそうになったり、ゾナーのGFに崖から落とされそうになったりと満身創痍。ゾナーの告白まで読んでる方も心が休まらなかった。

ラクリオンとフェネラはすっかり幸せそうで赤ちゃんができるように手術をするらしい。ヘラクリオンの方は子供より妻!という感じだった。 

 

DV父と鬱気味母(画家)を持つヒロイン。大学を諦めて母の世話をしていたが、やっと母も立ち直り、離婚を進め、幼馴染と出会って良い感じに。母の新たな恋を押し進めるために、母の恋人の部下ヒーローと作戦を立て始めるのだが、若い二人も心の動きが。ヒーローはかなり良い人で、ヒロイン含め色々世話を焼いてくれて、最後の告白大会まであまり心配せずに読めた。ジェシカ・スティールらしい作品。 

 

 【再読】「復讐は炎のごとく」ミシェル・リード。夫の元カノに引き裂かれ、というより、妻と子供を信じず自分の気持ちを明かさない夫の態度が原因。流産した時も元カノ宅で泥酔して寝てた…って、そりゃ法的措置も取られて仕方ない。再会してからは、頑張って妻の気持ちを勝ち取ったので良かった。

「サラのバラード」ロバータ・レイも好きな作品が多いけど、この話も良かった。反発しあいながら惹かれていく2人。それにしてもヒーロー側の元愛人が多そうなのがちょっと気になってしまった。

「砂漠のドクター」ヴァイオレット・ウィンズピア。カサブランカに仕事に来たマドリンと地元で働く眼科医ビクター。過酷な地で働くビクターに運命的な恋をしたのに拒絶され、一時期離れてみるが、その間にビクターの祖父が亡くなり、彼も秘めていた気持ちを告白。二人は至上の愛に包まれる。何度も読み返したい名作。

 

こはく色の夢 (ハーレクイン文庫)
 

事故で両親を亡くし、自分も余命半年と思いこんだヒロイン。自棄になって行ったバーで、話し相手になった男性の部屋に行き眠り込んでしまう。その後、余命問題は誤解とわかるが、クリスマスに招待された家の兄が、あの一夜の相手だった!ヒーローのダイソンが暗くて怖い人だったので、最初好きになれないヒーローと思っていた。後半はヒロインの怪我を知って優しくなったが、なかなか真相を話さないので、告白タイムもなんだか辛かった。もうちょっと幸せタイムがあれば…。そこら辺が残念。 

 

 別居中の夫婦の夫婦喧嘩に巻き込まれたヒロイン。ヒーローの従姉妹である妻の方が、勝手に別居したのに、あたかもヒロインが誘惑したかのようにヒーローや父親に嘘をつきまくる。夫の方も、なぜそこまでヒロインに頻繁に会って愚痴るのか?継母や義兄弟に援助している心優しいヒロインを悩ませる二人にはイライラした。ヒーローは良い人なんだけど、結婚すると親戚付き合いが面倒くさそう…。

 

 【Kindle】宝探しで行方不明になった父を探してジャングルの島に難破して打ち上げられたヒロイン。島の領主ロッケたちに助けられ、次の船が来る一月後まで他の助かった人たちと滞在することに。密林の美しさ、残酷さ、人々の営みの描写に胸を打たれる。そして島の全てを支配するロッケの野生的な男らしさ。その青い眼の魔力。彼に反発しつつも強烈に惹かれるモルベナの光る妖精のような美しさ。ツンデレだったロッケの告白シーンが短くも強烈だった。

 

忘れられた花嫁 (ハーレクイン文庫)
 

【電子図書】熱烈な一夜のあと事故で行方不明になってそれっきりだったヒーロー。すっかり存在も忘れていたヒロインに偶然会って卒倒して。記憶が徐々に戻ってくるけど、これ男女逆だったらヒロインが罵倒されまくりだろうなあ。倒れそう〜と弱々しいところを見せつつ、生活と子どもたちの幸福を盾に脅迫するとか。ヒロインはちゃんと倒れそうになると駆け寄ってくる心優しい女性だけど、策略をめぐらすヒーローにはかなわなかったのでした。倒れるヒーローってドラマちっくですけどね。ガタイがいいので下敷きになると嫌だなあ、と思ったり。

【再読】ヒーロー側の記憶喪失もの。ヒロインだけを忘れていた理由は、罪の意識と事故のせいだったけど、相手と恋愛感情はおろか肉体関係も無く、タイミングが悪かったと思える。フラッシュバックで倒れまくるヒーローと、心配すると優しく、それ以外のときは非難しまくるヒロイン。2人とも一途に愛し合っていたので、個人的にはかなり好きな本。 

 

 遺言で文無しのヒロインと、遺言でヒーローが期限までに結婚しないと一族が祖父の遺産を貰えないという設定が面白い。倒れる寸前のヒロインを自宅に連れ帰り、紳士的に看病するヒーロー。ヒロインとは早い時期から両思いなのだが、双方の家族が足を引っ張る。ヒロインの消息が途絶えてからの再会でやっと始まる愛の告白タイム。前半、強欲な継母にかなりムカついたが、彼女がいなかったらヒロインはヒーローの腕の中に倒れ込まなかったし、富豪の花嫁にもならなかったという事でめでたし。

 

 双子の妹の話「さよならは私から」レイサムの態度が酷すぎて、なにこいつ!?と思ったが、元凶はヒロイン父。刑務所に行って欲しいくらい酷い親だった。

双子の姉の話「内気なエンジェル」父親と亡き夫のせいで苦しんできたジョージィ。亡夫の従兄弟ダルクの頼みでフランスに行き、馬の世話をすることに。ジョージィの内気さを乗り越える勇気と、ダルクの想像もつかない程の深い愛。二人が結ばれて本当に良かった!

 

偽りの結婚指輪 (ハーレクインSP文庫)
 

冴えないナニーと結婚したヒーローが、ある日妻の魅力に突然気づいて…とロマンスコメディな話だと思っていた。が、亡くなった前妻が完璧だったせいで、デュ・モーリアの「レベッカ」の若妻みたいな立場のヒロイン。おまけに夫とは白い結婚。変身した妻に強く惹かれていく夫だが、義母の嘘を信じて悲劇が起こる。悲劇の後が、本一冊分あっても良かった。ヒロインだけが辛い思いをした訳では無いが、やはりヒロインの誠実さや愛情が報われるのが遅すぎた。キム・ローレンスらしい考えさせられる本。 

2021年4月に読んだ本<2>

 

修道院育ちで魔女のような緑の瞳のイニス。義父を牢屋に入れた、片腕の男ガードに恩赦を請いに行き、断られ嵐の中でひき逃げされる。記憶喪失になった彼女はなぜかガードの婚約者となっていて!?嵐の中、執事に彼女を探しに行かせて入院させ、家に引き取って意識が無い間も毎日のように会いに来ていたガード。元カノに対抗して芝居をしている、というより最初から気になっていたのでは。ガードがだんだんとイニスに夢中になり、あせった元カノは彼女の正体をばらす。そして逃げたイニスを必死に追いかけてくるガード。偽の婚約者にしてしまう、というのは無茶苦茶な話ではあるが、何故か忘れられない本。

 

ヒロインが必要に迫られてルームメイトを募集したら、謎の多いハンサムな画家が来て一緒に住む事に。最初は無口だしヒロインのデートに批判的だし、礼儀正しいがなんだか行動がいろいろと変。でもヒロインの弟を慰めてくれたり、非常時に実家に送ってくれたり、だんだん良い雰囲気に。ヒロインとヒーローの会話にニッコリしたり、ホロリときたり、プロポーズの前の説明には、ちょっとビックリ。でも良い話だった。強欲な母親にはだけは天罰が当たります様に…。 

 

【再読】【Kindle】記憶喪失もの。荒野のチェイス屋敷に現れた記憶の無い少女リギア。屋敷の主エイブリーはリギアに夢中になり、主治医として館に滞在するように望む。偽の記憶喪失と思っていたロバートだが、愛犬を助けてもらってからはだんだんリギアに心を許していく。そして彼の芝居の台本を読んだときに、ついにリギアの記憶が戻る。リギアは実は旅回りの役者だったが、監督に言い寄られて逃げ出して、記憶を失ったのだった。

最初読んだ時は、ロバートがすごく怖かったが、再読すると、彼の心の痛みや孤独感をヒロインが次第に正しく読み取っているのがわかる。そして彼の愛情もこちらに伝わってくる。彼の祖母が死の床で、ヒロインに愛する人のところに行くように言うシーンが印象的。 

 

恋人宣言 (ハーレクイン文庫)

恋人宣言 (ハーレクイン文庫)

 

kindle】ヒロインのリースの幼馴染ローズマリーは、夫に浮気され離婚目前。彼女の向かいの部屋に住むヒロイン兄弟のパーティでローズマリーに恋したトラヴィス。複雑な立場の恋人たちを応援するリースだが、トラヴィスの従兄弟ネイラーに変な誤解をされ、困った立場に。おまけにネイラーは会社の新社長だった!友情のために本当の事が言えないリースと傲慢なネイラーの意地の張り合いが面白い!最後のネタバラシでスッキリして、二人もハッピーエンド。楽しい恋愛コメディだった。 

 

 ヴァイオレット・ウィンズピアは、古風だけど個性的な謎めいた恋愛を描くのが巧い。顔に大きな傷のある富豪の男性、ヒロインはなぜか彼を前から知っているけれど思い出せないまま、結婚式を挙げるのだけれど、実は…。という上流社会が舞台のロマンスです。美しい衣装や美味しそうな(本当にイギリスなのか?!)食事の描写も楽しめます。ゴシック・ロマンスが好きなので満足の1冊でした。

【再読】ヒロインの愛する故郷の描写、ロンドンでの逢瀬、ヒーローとの謎めいた言葉のやり取りが他のロマンス本と違って、映画のように再生される。騒々しいロンドンから離れ、故郷に帰りたいと願っていたヒロイン。故郷に城を買った、富豪のヒーローから結婚を申し込まれて、自分が買われたように思って絶望していたが、実は…。時を経て読み返すと、こんな純愛のお話だったのかと驚く。

 

 最初にヒロインのライサンの婚約のいきさつを読んだ時、ノエルが卑怯だな、と思ってしまった。兄妹みたいに育って、それまで恋人同士でもなかったのに、悲劇を逆手にとって無意識にライサンに圧力をかけた。追い詰められたヒロインは、一度会っただけのダンテのファックスを見てチリに旅立つ。ラテンヒーローとしては、ダンテは紳士的だし、彼女への一途な想いがダダ漏れだったので、略奪者というより本物の恋人としてピッタリの人だった。チリの素晴らしい景色を背景に進む二人の恋の葛藤にハッピーエンドが待ち遠しかった。

 

kindleコミック版を読んでいたので、原作も読了。フィアンセのレックスの浮気現場を目撃して婚約解消。その夜にレックスが車で大怪我。彼の兄ネイトが、ヒロインのカスリンを侮辱し、恫喝。しかしネイトの元で仕事をすることになり、次第に彼に惹かれていくが、実は彼女を誘惑し結婚式の祭壇の前で置き去りにする計画を立てていた、と言われる。婚約解消の原因を聞いたあと、彼からプロポーズされるが、無理無理無理。どうあっても普通の結婚式では納得してもらえないネイトの秘策とは…。こんな酷いヒーローはジェシカ・スティールでは珍しい。コミック版は短いのでそうでもないが、原作はモヤモヤ感が晴れなかった。

2021年4月に読んだ本<1>

 

 【Kindle】イタリア人って美しくない女性には残酷ってどこかで読んだような。そのせいかヒーローのヒロインに対する評価が酷いんですけど。そしてお約束の大変身後に態度が違いすぎるw みにくいアヒルの子HQ版としては、すごく面白かった。【Kindle】 【再読】ヒロインに誘惑という災難を避けさせようと、祖父母のかけた呪いをヒーローが解いてしまう。そして眩いほどの美女になり、ヒーローと熱愛関係になる。ヒロインの変身後の素晴らしさにスカッとする。一度は誤解のために別れる2人だが、ヒーローの愛は本物だった。もしかしたら、亡き父の罪滅ぼしだったのかも。最初の手紙と、母子を捨てた理由がわかって、それがもとで娘を幸せにしたのだから。読み返すと良い話だった。

 

ハネムーン (ハーレクイン文庫)
 

奔放自堕落な姉がフィアンセの弟と駆け落ち。フィアンセであるヒーロー顔は似ているけど性格は正反対のヒロインを脅して結婚、という始まりから辛いお話。世間知らずのヒロインの純粋さ、情の深さが、周囲の人々を救い、なおかつ自分も強くなっていく。姉は全く出てこないが関わる全てを破壊し、妹は癒やしていく。最後にやっと夫の目が覚めるシーンが印象的。 

 

前半、ヒロインのルアンと既婚の俳優との恋が描かれているので、どうなることかと思ったけど、事故で恋人は彼女だけを忘れてしまい…。ヒロインは彼の主治医の同情からの想いを断り、娘の付き添いの仕事を受けて、運命のヒーローの元へ流れ着く。ヒーローはヒロインに厳しい事を言い、真実を見つめるように求める。俳優の妻が亡くなった後、ヒロインを見て記憶が甦るけど、そんな都合の良い男への幻の恋を捨てて、本当の愛する人を選ぶヒロインが賢い。ヒーローはルアンの名前を聞いたときから彼女に惹かれ、愛を得られないなら船出してしまうつもりだったと告白する。ロマンチックなヴァイオレット・ウィンズピアらしい一冊。

 

黒い魔術師 (ハーレクイン文庫)
 

【電子図書】ギャンブルで破産し亡くなったヒロインの父親、彼に執着していた後見人のベラ。そして育てた恩をきせられて、上院議員の息子と愛無き婚約をしたヒロイン。そしてヒロインを運命の導きで見つけて愛し、彼女を救い守るヒーロー。階級も宗教も人種も超えて、二人が確かな愛を掴み取るまでが切なくて羨ましい。情景描写が素晴らしく、古いハリウッド映画を見ているようだった。 

 

【古書】「涙の結婚指輪」のポールのいとこニコスがヒーロー。伯父の形見を彼に返すため、イギリスからギリシアにやってきたヘーベ。しかしニコスはアメリカ人の妻を殺した疑いで島民に恐れられていた…。お金持ちの未亡人が出てきて二人の恋路を邪魔してるけど、全然目に入ってなかったのね、というのが嵐の海でわかる。傷心を忘れるために島に来て、彼の激情を受け止められるまでに成長したヒロイン。彼の娘アリアドネも可愛いかった。「双子のドラゴン」のカラのその後もわかって、幸せぶりがわかって良かった。 

2021年3月に読んだ本

 

潮騒 (ハーレクイン文庫)

潮騒 (ハーレクイン文庫)

 

題名は知っていたけど未読だったシャーロット・ラム本。裏切られたと思って記憶を無くし、一年後に訪ねてきた見知らぬ男性を夫と知らないまま、また恋に落ちる。妻は記憶を取り戻してから、何度も何度も夫を拒絶するけれど、いつしか心の底にあった愛情を取り戻すお話。離れては生きていけない、ピアノで出会って2人は恋に落ち、苦しみを乗り越えて、夫の愛が溢れる演奏が聞こえてくる気がした。

 

愛の罠 (ハーレクイン文庫)

愛の罠 (ハーレクイン文庫)

 

Kindle】出版年が1984年。ヒロインは家庭を壊した女と呼ばれて恋愛に恐怖を持っているが、本当は全くの被害者だった。義父と母親は離婚したが、義理の娘にも、成人したら本当の事を話すべき。親たちがちゃんとしなかったために、ヒロイン一人だけ犠牲にされ、その後、ヒーローの誤解も解け、彼の手助けで母親と和解し幸せな結婚ができた。しかし、本当の犯人は外国に逃れて罰を受けなかったのが残念。

 

結婚の意味【ハーレクイン文庫版】
 

 大人の恋愛小説 DSハーレクインセレクションから【Kindle】で買い直し。ヘレン・ビアンチンでは一番好きな本。途中まで、すごく怖いヒーローだけど、複雑な思いは理解できるかも?誤解と自分の怒りを溶かしていって、ヒロインに対して正直になる場面が良い。結婚式の幸せそうな2人に癒される(義理の関係については、婚姻無効を意味する会話あり)

 

 【Kindle】4年も待って離婚してロンドンに住んでいたのに、田舎から「父危篤」の嘘の手紙が届いて引き戻されるヒロイン。戦前の日本か!?騙されたまま便宜再婚させられて、ついには自殺寸前に。もうちょっとロマンチックな場面があれば良かったけれど、半端なところで終わった感じ。夫の苦悩が良く分からない。結婚前からずっと愛してたという割には冷たいし白い結婚だったし、復縁後も嘘をついていたことで、横恋慕の人妻に苦しめられるヒロインだった。

 

 

 

赤き手の狩人 (ヴィレッジブックス)

赤き手の狩人 (ヴィレッジブックス)

 

 FBIの超能力者のSCUから来た捜査官たちが、シリアルキラーの事件を解決する、というクリミナルマインド+スーパーナチュラルみたいなストーリー。実際に手を触れると火花が散るヒロインとヒーローがで出てきて、今後どうなるのか期待…と思ったらロマンス描写は無くて、ちょっとガッカリ。でもストーリーは面白かった。ほかのシリーズ本も読みたい。

 

子供の頃、父が破産で目の前で自殺し、直前に言い争いをしていたリースを敵と思って成長したダイアナ。超一流のモデルになり、リースに復讐を始めるが、次第に彼を愛し始める。ヒロインとヒーローの気持ちが交互に描かれるので、どこで彼女の復讐がバレるのか、復讐がバレた後、彼の気持ちがどうなるのか息詰まるようなハラハラ感がすごい。以前持っていた本を無くしたので古書で購入。コミックではなく原作の電子図書化を希望。

 

金髪の美女と、元は絶世の美男で今は顔を半分火傷の傷に覆われたイタリアの男爵のロマンス。登場人物それぞれが悲劇のエピソードを持っていて、ラストまで巧妙に導かれていくのがすごく好きなところです。個人的にはドSな男爵ラヴ。 本当に古風な恋物語だけれど、忘れられない1冊です。 

2021年1月に読んだ本

 

初カリン・スローターの本。

主人公のウィル・トレントが変人であるのは確かなのだが、切れ者ではない感じ。アンジーや、濡れ衣を着せられたジョンたちの方が頑張ってる。もう一つのシリーズの方が面白そうだが、翻訳が一冊だけなので残念だった。全般的に被害者が残虐に扱われる、というのは聞いていたがこれほどとは思っていなかったので、他の作品を読むのがちょっとためらわれる。